高村さんは優しかった。

他の人たちがどうしてあんなに怖がっていたのか、わからない。

こんな私のために、必死に怒ってくれた。

それが…嬉しくて。

「私は知ってるよ、あんたが雑用押し付けられても一つも文句言わないでやってることも」

「毎日花壇の花に水やってんのも」

「資料運びだっていっつもあんたがやってんじゃん」

なんで私なんかのためにこんなに必死に…

「ありがとう…」

「あ…、いや」

「高村さんだけだよ、私なんかのこと見てくれてるの」

「……いや、もう1人…」

「?」

「あ、なんでもない。」