「合田さん」

「は、はい!」

いつもは話さないようなおしゃれな子たちに声をかけられて緊張してしまった。

「ちょっとお願いがあるんだけど」

「はい」

「うちら、ちょっと用事あってさ。掃除当番変わってくない?」

「あ…えっと」

「お願いっ!」

「わ、わかりました。私なら全然大丈夫なのでお気になさらず」

「マジ?じゃあ、よろしくね!」

女の子たちはクスクス笑いながら、教室を出て行った。

「よーし、じゃあパアッとカラオケ行きますか!!」

「……」

用事がカラオケだってことも知ってる。

いいように利用されてることも分かってる。

それでも、自分が少しでも役に立つなら…それでもいいから。

誰かの役に立ってるならそれでいいって思える。

私は黒板消しを手に取ると、黒板の文字を消し始めた。