「あの…どこ行くんですか」

「犬は黙ってついてこい」

さっきからずっと黙ったままで私の前をどんどん歩いて行く。

歩幅が大きいからついていくの大変…

私が来たことないようなビルが立ち並ぶ街中を通って

宇佐美くんはその中の高級そうな建物の中に入って行った。

「ここどこ…?」

私は半分泣きそうだった。

もう何分も歩きっぱなしで足も痛いし、

ここがどこかもわからないし、

逃げられそうにもないし…

「間に合った…」

「え?」

宇佐美くんの声にハッと我にかえり、辺りを見渡した。

「ケーキ…バイキング?」