「遅え」

「すいません…」

ものすごく不機嫌そうな顔で、その人は中庭の草むらに寝っ転がっていた。

ーこんな場所あったんだ…

「ん?これ…購買のチョコクリームパンじゃねぇだろ」

「あ…えっと…売り切れてたからちょっとコンビニに…」

「あー…そう。いくら?」

「えっ!あ…130円です」


よかった、お金は払ってくれるんだ。

「さすがに金は払うよ、購買に行くのがめんどくせぇんだよ。」

「……」

私もめんどくさいんですけど

それは言わないでおいた。

「では私はこれで…」

「は?誰が帰っていいって言った?」

「?」

「お前もここで食べればいいだろ?どうせ一緒に食べる相手なんかいねぇだろ」

またさらっとひどいこと言った。

でもこの人の言うことはいつも事実だ。

ーだからと言ってこの人と食べるのはなんか嫌だな…

怖いし。

「お前、飯は?」

「え…あ!!」

今日は寝坊してお弁当つくれなかったんだった!

どうしよう…すっかり忘れてた。

「わ、私は大丈夫でーグゥ~

…………


最悪!!!

なんでこんなときになるの、私のお腹!!

「ん」

「へ?」

「やるよ」

開けかけてたチョコパンの袋を私に差し出した彼は、そのまま芝生の上に寝っ転がった。

「……いいんですか」

「あぁ」

ー優しいところもあるんだな…

「お金…返します」

「いいよ、別に」

「でも「犬は黙ってさっさと食え」

「……いただきます。」

宇佐美 悠=優しいのか、優しくないのかよくわからない人

あ、このチョコパンおいしい