「……っ」

ズキンっズキン

胸の奥がまるでえぐられたみたいにズキズキする。

私はその場から逃げ出した。

ただひたすら、どこへ向かうわけでもなく走った。



なんで…

ポロポロ

なんで涙なんか…



最初から分かってたはずなのに…

私は悠のただの犬でしかなくて、

“お前みたいな色気のねぇ女興味ねぇけど”

女の子として見られてるわけもなくて、

住む世界も全然違うって、分かってたはずなのに…



どれだけ言い訳したって、

胸の痛みも、ほおを伝う涙も、本物で


いつの間にか、私は悠の隣が居心地が良くなっていた。

悠の隣に入れることが…当たり前のことのように錯覚してたんだ。