開けると中には薬と注射器のようなものが、きれいに並んで入っていた。
「これは?」
「錠剤は傷の回復を早めるためのものだ。細胞増殖因子が入ってる。全治一ヶ月なら1週間もあれば治るだろう。毎日食後に飲むように」
「ふーん。こっちは?」
アタシは注射器のようなものを取り出して見せる。
「そっちは戦闘用だ。もし、前回やられた相手に出会ったら使いなさい。首筋に押し付けるようにして上のボタンを押せば注射できる。使えば一時的に感覚が鋭くなる」
「感覚が鋭く?アドレナリンみたいなもの?」
「まあそんなものだ。ただアドレナリンの何倍も効く。開発途中の薬だから、本当に危険なときにだけ使うように」
「なんか、やばそうな薬だね。持続時間は?」
「5分前後だな」
「5分って・・。そんな短時間じゃ意味ないだろ?」
「言っただろ、開発途中だって」
おそらく軍事目的で作られたものなのだろう。
当然安全性なんて考慮されていない。
それに死ぬかもしれない環境で薬が安全かどうかなんて気にしても仕方が無い。
その場を生き残れなければ、未来は無いからだ。
5分か・・。
その間に敵を倒さないと、結果は同じだ。
「リカ、注意しなさい。お前が関わろうとしているものは、戦場に行くのと同じぐらい危険なものだ。もし、前に進むなら覚悟をもって進むように」
アタシは心の中でオヤジに感謝した。
オヤジはいつもアタシの考えを尊重してくれる。