俺よりも早く動けるなんて・・。

しかし、あのお面も同じ動きをしていた。

俺じゃあの動きについていけねぇ。

「さっきのお面は虚(うつろ)の一種ですよ」

「虚(うつろ)の一種?どういうことだ?」

「魂寄(たまよせ)に失敗した虚(うつろ)ですよ。単なる失敗作。ただ彼らは擬人のあなたよりも早く動けます」

「それは、なんでだ?」

そこが一番重要だった。

「簡単ですよ。生きる必要が無いからです。彼らにはすでに人格は無い。催眠でインプットした行動を全力で行う。私やあなたのような擬似人格は・・」

「うん、ちょっと待った。おっさんも擬人なのか?」

俺は驚いた。

まさか守屋が自分と同じ擬人だとは・・。

ということは守屋の中にも、他の人格がいるのか?

「おっさんじゃないと言ってるでしょ」

守屋が少し怒ったような表情で言う。

そこは、どうでもいいだろう。

「ゴメン、ごめん守屋さん」

俺はめんどくさそう言った。

「まぁ、いいでしょう。そうです、私もあなたと同じ擬人です」

「守屋さんは俺と同じ擬人なのに、どうして奴らと同じように動けるんだ?」

「生きる必要がないからです」

守屋は即答した。

「えっ?」

俺は思わず言った。