私は反省した。

「キヨノさんが僕のことを好き・・」

サトシも殺されることよりも、そっちの方が気になるようだった。

うーん、若いって素晴らしいですね。

と、そんなことを考えている場合ではなかった。

どちらにしても伝えるべきことを伝えなくては前に進まない。

「今、あなたが死ぬとおそらくキヨノちゃんは生きる気力を失います。望楽土はあなたを殺すことで、キヨノちゃんの心を殺そうとしているのです」

「えっ、でも望楽土はキヨノさんのお父さんが入っているんでしょ。いくらなんでもお父さんがそんなことを・・」

サトシはキヨノのことを心配してそう言ってくる。

「キヨノちゃんのお父さんは、お父さんである前に、望楽土につかえる人間なのですよ。だから望楽土のために必要なことであれば何でもします。それが自分の子供を傷つける行為でもです」

「そんな・・」

サトシが辛そうな表情で横を向く。

「私・・。私・・、知っていました。お父さんがそういう人だって。それに、お父さんは本当のお父さんじゃないから・・。」

キヨノはうつむいたまま、小さな声で言った。