それは、そうだろう。

何しろ、さっき拉致したばかりなのだから。

「えっ、警察の人じゃないの? 」

キヨノがサトシに言う。

「違うと思う。だって、僕は気絶させられてここに連れてこられたんだから」

「まあまあ、二人とも。今からちゃんと事情は説明してあげますよ。」

私はいつものおどけた口調で言った。

「まず坂本サトシ君・・。あなた、このままじゃ望楽土に殺されてしまいますよ」

「えっ? 」

二人の声が重なる。

キヨノは見るからに不安そうな表情になる。

「まあ、私が守ってあげるので大丈夫なんですけどね」

私は、特にキヨノに向かっていった。

ここで擬人(ぎじん)に入れ替わられては、話がしにくくなる。

「あなたはいったい? 」

今度はキヨノが聞いてくる。

「私ですか? 私はあなた達の味方ですよ」

私は自分で言いながら、ウサン臭いなと思った。

「でも望楽土は何のために僕を殺すんですか? 」

「キヨノちゃんがあなたのことを好きだからですよ」

私はサトシに言った。

望楽土と警察に潜入させているエージェントからの情報で状況は大体つかんでいる。

ふと、キヨノを見ると真っ赤な顔をしてうつむいている。

ああっ、しまった。

これは直接的すぎましたね・・。