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第十七話:極(きょく)
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私の名前は守屋義文(もりやよしふみ)。

望楽土と敵対する組織に属している。

組織の名前は極(きょく)。

私もかつて望楽土に属していた。

いや、属していたというよりも飼われていた。

私の両親は本当の両親ではなかった。

ただ、虚(うつろ)の候補体である私を望楽土から与えられただけだ。

私は誰からも愛された覚えがない。

父親も母親も、できるだけ私にトラウマを与えようとしていた。

いや当時のことを考えると、私という概念は適当ではないかもしれない。

なぜならば、守屋京子(もりやきょうこ)というのが、その時の名前だったからだ。

私は京子によって生み出された、擬似人格。

一つの体を共有するもう一人の自分。

それが私だった。

私は京子のことが好きだった。

決して結ばれることはないけれど、京子の手も髪も体も心もすべてが好きだった。

でも、京子はもういない。

望楽土の仕打ちにより京子は生きる気力を失った。

そして、京子は私の中から消えていった。

残された私は永遠に一人になった。

極(きょく)は私を利用しているだけかもしれない。

でも別にそれでかまわない。

私も極(きょく)を利用して望楽土に復讐(ふくしゅう)する。