「うん? 」
こいつ、島本が死んでることを知ってるのか?
「先生、倒れていたでしょう」
こいつ・・。
こいつがやったのか?
「アンタ、島本になんかしたのかよ? 」
「はい、ちょっと永い眠りについてもらいました」
守屋はしれっと言う。
俺は警戒して、男と少し距離をとる。
「何のためにそんなことを? 」
俺は聞く。
こいつがいったいどういう魂胆(こんたん)なのか知る必要があった。
「なんのため? そんなの決まっているじゃないですか。望楽土が嫌いだからですよ」
「じゃ、俺も殺すってことか?」
俺は神経を集中する。
こいつの動きすべてを見逃さない。
「いえ、あなたは殺しませんよ。擬人(ぎじん)くん」
「あ? ぎじん? なんだそりゃ? 」
恐ろしいわけじゃないが、正直不気味だった。
こいつが何者かも分からない。
「ふふっ。あなたは本当に何も知らない。ただ、思うがままに動いている。嫌いじゃないですよ、そういう子も」
「わけ、わかんねぇよ」
俺はこいつのことは相手をしないことにした。
そう言うと、同時にダッシュで男の脇を抜ける。
・・つもりだった。
しかし、守屋は俺の前に移動し立ちふさがる。
正直びっくりした。