「じゃあ、仙崎はその先生に刺されたんですか? 」

僕は、刑事の注意をキヨノさんからそらすために質問した。

「いや、それは分からん。ただ、仙崎はオマエ達を囲んで見張っていた連中とやり合ったみたいだ」

横から、高瀬が答えた。

「えっ、僕たち見張られてたんですか? 」

僕は驚いた。

そして仙崎がそいつらとケンカしたことにびっくりした。

前と同じように仙崎は、僕のことをつけてたんだ。

「そうだ。電話でそれを俺に伝えた後に、乱闘になったみたいだから、きっと何かあったんだろう」

「仙崎は・・、仙崎は大丈夫なんですか? 」

「あぁ、さっき病院から連絡があったが、命に別状はないそうだ。ケガも浅いからすぐ退院できるだろう」

僕は、ほっとした。

「ケンカした相手はどうなったんですか? 」

「俺達が到着したときには、もう誰もいなかった。もう仙崎も意識を回復しているようだから、彼女に聞いてみるしかないな」

その時、キヨノさんが急に立ち上がった。

「あの・・、私帰ります。行かなくちゃいけないんで」

刑事二人と僕に向かってそう言った。

そして、ドアの方へ向かう。

「森本さん、まだ話は終わっていないんだ。悪いがもう少し付き合ってもらえるかな? 」