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第十四話:気持ち
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プルルルッ。

アタシは刑事にもらった携帯を鳴らした。

さすがに、3人を相手にするのは厳しいからだ。

「高瀬だ。どうした? 何かあったか? 」

留守電じゃなかったことに少しほっとする。

「刑事さん? 早速やばいことになりそうだよ」

アタシは小声で言う。

「誰か近くにいるのか? 」

「今、若松公園の近くなんだけどさ。3人が坂本と森本紀代乃を囲んでる」

「囲んでる? 」

「あぁ。距離を保って二人を見張ってる状態だよ。今のところ動きはないけど、あってからじゃ遅いから・・」

アタシはそこまで言って止まった。

少し離れた位置にいる一人がライフルのようなものを組み立てているのが見えたからだ。

坂本と森本紀代乃は土手に座ったまま、のんきに花火を見ている。

「ごめん、刑事さん。至急応援頼む」

アタシはそれだけ言って携帯を通話状態のままで腰につるす。

できるだけ状況が伝わるようにと思ったからだ。

ライフルの男はアタシがいることには気がついてない。

アタシは素早く、音を立てないように移動した。

そして、ライフルの男の後方へと近づく。

腰にさしてある特殊警棒を引き抜き電源をオンにする。

この警棒にはスタンガンがついていて、5秒も電気を浴びせれば相手はしばらく動けなくなる。

男はちょうどライフルを組み立て終わったところだった。

そして坂本の方を狙おうとする。

アタシは、その瞬間を見計らって警棒を振り下ろした。

ライフルの男のちょうどわき腹のあたりに警棒がヒットする。

アタシは同時にスタンガンのボタンを押した。

バチバチッ。