川の近くの公園にはたくさんの屋台が出ている。

実際に花火が上がるのは、川の向こう側からだ。

打ち上げまで、まだ時間があるので僕たちは公園の屋台に行ってみることにした。

「ねぇねぇ、あれってりんご飴ってやつだよね」

キヨノさんが僕の肩を軽く叩きながらはしゃぐように言った。

「そうだよ。もしかしてキヨノさん、お祭りとかも行ったことないの?」

「うん。お父さんが駄目っていうから・・」

キヨノさんの顔が一瞬暗くなる。

あぁ、駄目だ。

そんなこと、どうでもいいじゃないか。

僕はつまらない質問をしたことを後悔した。

「すみません、りんご飴二つください」

僕は、キヨノさんと自分のりんご飴を買った。

「はいっ」

そして、ひとつをキヨノさんに渡す。

「ありがとう」

キヨノさんは財布からお金を出そうとする。

「あっ、いいよ。そんなの」

「でも・・」