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第ニ話:キヨノさん
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ピアスの男は死んだ。

首の頸動脈(けいどうみゃく)が正確に切られていたらしい。

僕は知らなかったけど、それは最近この街で起こっている連続殺人事件の手口みたいだ。

被害者はすでに4人。

いずれも頚動脈損傷(けいどうみゃくそんしょう)による失血死だ。

首の頸動脈は筋肉で守られており、その部分だけを正確に突くことは意外と難しいらしい。

しかし犯人は正確にそこだけを突いている。

ネット上では「首狩り事件」として話題になっている。

いまだ解決の糸口はつかめておらず、有力な目撃情報もない。

強いて言えば、僕が一番目撃者っぽいと言える。

警察もそう思っているみたいで、色々なことを聞いてきた。

でも実際には僕も何も見ていない。

あの時間あの場所でいったい何をしていのか?という点についてはしつこく聞かれた。

僕は彼女のことを言うのはよくないと思い、単に休憩中の散歩だと答えた。

警察は当然信じていない。

僕が何かを隠していると思っているようだ。

ピロリンッ

拓からメッセージが届いた。

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サッシ大変だったなあ。

まさか首狩り事件に巻き込まれるとはな。

しかし彼女が無事そうで良かったな。
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僕はすぐ返信する。

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いやあれ以来、彼女コンビニに来ないんだよ。

だから今のところ無事かどうかも分からないんだ。
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拓からすぐに返ってきた。