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第十二話:もう一人のキヨノ
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私の名前は須藤遼子(すどうりょうこ)。
慶明大学の研究室で働いている。
といっても、その研究室は望楽土の施設で、実際には大学関係者は立ち入り禁止だ。
私にとって望楽土は命の恩人だ。
10歳の時にあった悪夢のような出来事・・。
私は朝5時、誰かが天井裏で踊っているような音を聞いた。
目を覚ました私は隣で眠っている、お母さんにしがみついた。
お母さんは私を見るとにっこり笑って言った。
「大丈夫よ。いつもの地震だから」
でもそれはいつもの地震ではなかった。
やむどころかひどくなっていく揺れに、お父さんがあわてて布団から出る。
家全体が揺れていた。
そして、その直後、家の屋根が壊れて私達の上に降ってきた。
気がつくと、お父さんとお母さんは屋根の下敷きになっていた。
お母さんは私におおいかぶさっていた。
だから私はどうにか、屋根の下敷きから抜け出すことができた。
わんわん泣く私にお母さんはもう一度言った。
「大丈夫よ。お父さんもお母さんも大丈夫だから・・」
私は泣きながら助けを呼びに行った。
でもあたりは、つぶれた家だらけで誰も助けてくれるような人はいなかった。
ようやく、助けを見つけて戻ったとき・・。
私の家は燃えていた。
地震のあと、火事になったのだ・・。
私は一人になった。
親戚は私を引き取ることをこばんだ。
養う余裕がないらしい。
一人になった私は、施設に引き取られた。
施設で私は毎晩、夢を見る。
炎の中で助けを呼ぶお父さんとお母さんの夢だ。
第十二話:もう一人のキヨノ
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私の名前は須藤遼子(すどうりょうこ)。
慶明大学の研究室で働いている。
といっても、その研究室は望楽土の施設で、実際には大学関係者は立ち入り禁止だ。
私にとって望楽土は命の恩人だ。
10歳の時にあった悪夢のような出来事・・。
私は朝5時、誰かが天井裏で踊っているような音を聞いた。
目を覚ました私は隣で眠っている、お母さんにしがみついた。
お母さんは私を見るとにっこり笑って言った。
「大丈夫よ。いつもの地震だから」
でもそれはいつもの地震ではなかった。
やむどころかひどくなっていく揺れに、お父さんがあわてて布団から出る。
家全体が揺れていた。
そして、その直後、家の屋根が壊れて私達の上に降ってきた。
気がつくと、お父さんとお母さんは屋根の下敷きになっていた。
お母さんは私におおいかぶさっていた。
だから私はどうにか、屋根の下敷きから抜け出すことができた。
わんわん泣く私にお母さんはもう一度言った。
「大丈夫よ。お父さんもお母さんも大丈夫だから・・」
私は泣きながら助けを呼びに行った。
でもあたりは、つぶれた家だらけで誰も助けてくれるような人はいなかった。
ようやく、助けを見つけて戻ったとき・・。
私の家は燃えていた。
地震のあと、火事になったのだ・・。
私は一人になった。
親戚は私を引き取ることをこばんだ。
養う余裕がないらしい。
一人になった私は、施設に引き取られた。
施設で私は毎晩、夢を見る。
炎の中で助けを呼ぶお父さんとお母さんの夢だ。