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第十一話:正義とは
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俺の名前は高瀬守(たかせまもる)。

三谷署の刑事だ。

俺は望楽土(ほうらくど)という組織を追っている。

望楽土(ほうらくど)は俺のオヤジの敵(かたき)だ。

俺のオヤジは優しい人だった。

自分が困っていても、人を助けてしまうような人だ。

それが望楽土(ほうらくど)に利用され殺されてしまった。

捜査記録では事故ってことになっているが、あれは事故なんかじゃねぇ。

だから俺は刑事になった。

望楽土(ほうらくど)の秘密をあばき、オヤジの無念を晴らすために。



「森本紀代乃を重要参考人で引っ張る件だが・・。やっぱ駄目だとさっ」

やなさんが、だるそうに言ってくる。

柳田警部、通称やなさん。

俺の上司だ。

「任意同行も駄目ってことですか」

無理とは思っていたが案の定だ。

森本紀代乃やその周りの人間に関しては、署長から記録に残るような捜査はするなと言われている。

「まあ署長ももうすぐ定年だから、ここで上ににらまれたくないんだろう」

森本紀代乃とその父親そして慶明大の一部施設とそこで働く人間、これらはすべて望楽土(ほうらくど)の関係者と考えられる。

俺とやなさんは、それらの監視をするように命令を受けている。

しかし、それはあくまでも監視で直接の捜査はなぜか禁じられている。

「単に監視だけしろって、お偉いさんは何を考えてるんでしょうかね? 」

監視だけして、捜査できないのでは意味が無い。

望楽土(ほうらくど)がどんな組織で、いったい何を目的としているのか?まずはそれを、あばく必要がある。