うーん、アタシのカバンって、まるでドラえもんだね。

超役に立つよ。

アタシは盗聴器を窓の外にそっと置いとおいてイヤホンを耳につけた。

中の会話が聞こえてくる。

「・・もう少しで精神レベルが0になるような様子でした」

「なるほど。では坂本聡がいなくなれば、可能性としてはあるか・・。森本さんの言ったとおりだな。で、もう実行するのか? 」

「いえ、もう少し待つようにとの指示です。絆(きずな)は深いほうがいいだろうと」

「確かにな。確実にレベル0まで持っていかなくては、リバウンドの可能性もある。この点は森本さんには伝えてはいないのだが・・」

「最終的なタイミングは先生からいただくように言われています」

「分かった。では明日から、坂本聡への感情を中心に確認しよう。その上で、彼を始末するタイミングを指示する」

「分かりました」

始末・・。

こいつら坂本を殺そうとしているのか?

しかも森本さんって、森本紀代乃のオヤジ?

まじ、やばいなあ・・。

とりあえず簡単に解決ってわけにはいきそうにないねえ。

アタシは知らず知らずのうちにニヤリとしていた。

やばい状況は嫌いじゃない。

それに敵はこっちの存在に気がついていない。

だったら先手を打てるはずだ。

まずはもっと情報を集めないとな。


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第十一話へ続く
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