アタシはその考えが気に入った。

しかし、あの二人いつまでじっとしてるんだ・・?

アタシはなんとなくイライラしてきた。

ふと、公園の逆側を見ると同じように二人を見ている男がいた。

男は黒っぽい服で統一しているので、この暗さだと普通気がつかない。

アタシだからこそ気がついた。

もっとも、格好に関してはアタシも同じなんだけどね。

そう、アタシもクロのタンクトップに、クロのショートパンツをはいている。

おまけに靴も黒だ。

迷彩(めいさい)は基本だ。

男はこちらには気がついていないようだ。

ふん、素人みたいなもんだな。

男は明らかに二人を見張っている。

臭いな・・。

男の持つ雰囲気は平和とはかけ離れたものだ。

こいつだ。

こいつが、坂本の事故を起こしたやつだ。

アタシはそう感じた。

男が、公園から離れていくのが見えた。

坂本と女はまだ抱き合っている。

ちっ、本当にお気楽なんだから。

アタシはイラッとする気持ちを我慢して、男を追うことにした。

森本紀代乃に関わんなって言っても坂本が聞かない以上は、周りの危険を排除するしかない。

まずは、敵の正体を知ることが大切だ。