キヨノさんの家の近くには小さな公園がある。

スベリ台とブランコ、そして小さな砂場。

ブランコの真正面に小さなベンチがある。

僕達は二人でそこにすわった。

僕もキヨノさんもブランコをながめている。

何から話すべきか、僕は迷っていた。

「ごめんなさい・・」

突然、キヨノさんが謝ってきた。

「えっ・・、何がです? 」

「私、サトシ君に話さなくちゃいけないことがあるのにだまってた・・」

キヨノさんは辛そうな表情で言った。

「私のお父さんって変なの・・。私が誰かと仲良くなるとすぐにジャマをして。だから、サトシ君の家を荒らしたのも、お父さんかもしれない」

「えっ、でもどうして、そんなことを? 」

「分からない。でも、昔から友達なんていらない、お前には家族がいるって。高校のときも、せっかくできた友達が何も言わずに転校したりとか」

高校のときって・・。

警察が、キヨノさんが友達を殺したとか何とかって・・。

僕は混乱していた。

でも、聞かなくちゃ。

「この前、家でお父さんと話してなかったです? 声が聞こえたので、話を少し聞いちゃいました。お父さんを許さないとか、なんとか・・」

「えっ? 」

キヨノさんは驚いているようだ。

「でも、窓から見た部屋の中にはキヨノさん以外、誰もいなかったんです。しかもキヨノさん携帯使ってたわけじゃないし・・」

「あれは・・」

キヨノさんが口ごもる。

「で、その後僕が家に帰ろうとしたとき、ビルの上から物が落ちてきて事故にあいそうになったんです。運が悪かったら死んじゃうような感じでした・・」

僕はそこまで一気に言った。

「えっ? 」

キヨノさんの表情が急に変わった。