「これは事故じゃないってことだよ」

事故じゃない?

狙われたってこと?

いったい誰が、なんで・・。

「だいたい、なんで仙崎がこんなところにいるんだよ?」

こんな都合よく仙崎がいるってこと自体が変だ。

「たっ、たまたま通りかかったんだよ」

仙崎は少し言葉に詰まる。

怪しい。

僕は疑いの目で仙崎をじっと見つめる。

仙崎はばつが悪そうに、横を向いて目をそらした。

「悪い・・、実は坂本のことつけてたんだ」

そう言って、どうしてこの場にいたのかを話しはじめた。

彼女は、前にいやな予感がすると言い出したときから、僕やキヨノさんの周りを調べだしたらしい。

だから、今日も僕とキヨノさんの後をつけていたのだ。

キヨノさん対しては、後をつけて慶明大に行ったりもしている。

「ゴメン・・。坂本に無断でこんなことして。でもアタシほっておけなかったんだよ」

仙崎は目を合わせないまま、そう謝ってくる。

「ほおっておけないって・・。どうしてまた? 」

「坂本、お前しってんのか? 」

「えっ、何を? 」

「森本紀代乃なんて学生は慶明大学にはいないよ」