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第七話:事故
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僕は結局キヨノさんと話さずに帰ることにした。

話しかけちゃいけない気がしたからだ。

多分見られたことも知りたくないだろう。

でも、さっきキヨノさんは誰と話していたんだろう?

お父さんのようだったけど、部屋には誰もいなかった。

それに、あんなことってのは、やっぱり僕の部屋が荒らされたことなのかな?

とすれば犯人はキヨノさんのお父さん?

でも、いったいなんでそんなことを・・。

僕がキヨノさんことを好きってことに気がついて、付き合わせないために・・。

でも普通それで部屋を荒らしたりしないよな。

考えれば考えるほど訳が分からなかった。



僕の住んでいるマンションの近くに建設途中になっているビルがある。

なんでも、依頼していた会社がつぶれてしまったために建設再開のめどが立たないそうだ。

僕は毎日このビルの前を通って帰る。

だから今日も、さっきのことをずっと考えながらビルの下に差しかかった。

ドンッ

突然、後ろから誰かに背中を突き飛ばされた。

「痛てっ」

僕は倒れたまま背中に手をあてながら振り返る。

その瞬間。

ガシャーン、ガラガラ・・。

上からパイプやら鉄骨やらが降ってきた。

ほこりがあたり一面に舞い上がる。

まるで煙のようだ。