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キヨノさんを家に送った帰り道、僕は色々なことが気になっていた。
家が荒らされていたことを話した時のキヨノさんの態度はちょっと変だった。
やっぱり何か知っているんだろうか?
昨日、慶明大の近くでまた首狩事件があったってことは、誰かが殺されたってことだ。
今までは首狩事件はこの街でしか起こっていなかったのに・・。
警察はやっぱりキヨノさんを疑っているんだろうか?
僕はむしょうにキヨノさんと話したくなった。
だから引き返して、もう一度キヨノさんの家に向かうことにした。
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キヨノさんの家に近づくと、話し声が聞こえてきた。
木造の平屋だからか、外まで音がもれてくる。
僕は何を話しているのか聞きたい衝動にかられて、玄関には向かわず居間の窓の近くに耳を寄せた。
「お父さんどうして・・」
キヨノさんだ。
「どうして、あんなことをしたの?」
キヨノさん誰と話しているんだろ?
「私お父さんの言うこと聞いてるよね。ちゃんと言いつけ守っているよね」
どうやらお父さんと話しているようだ。
「私、誰とも仲良くなっちゃいけないの? 」
相変わらずキヨノさんの声しか聞こえない。
「私ちゃんと大学がんばるから。大学卒業して一人前になるから」
僕は気になって思わず窓をのぞき込んだ。
キヨノさんが部屋の中に立っていた。
部屋の中には誰もいない。
誰もいない部屋の中で一人キヨノさんが壁に向かって話しかけていたのだ。
壁には黄泉狐(よみぎつね)から守るというどす黒い文様(もんよう)が部屋の明かりを不気味に反射していた。
キヨノさんはしばらく黙っていた後、もう一度口を開いた。
「でも許さない・・、もし何かあったら、私絶対お父さんのこと許さないから」
キヨノさんはまるで自分に言い聞かせているようだった。
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第七話へ続く
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