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第五話:キヨノの秘密
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私の名前は森本紀代乃(もりもときよの)。
慶明大に通う3年生ということらしい・・。
私は受験というものを経験せずに慶明大に入学した。
でも入学式にも出ていないし、普通の授業にも出ていない。
ただ1年生のときに紹介された島本教授のところへ毎日通っている。
私は島本教授のことを先生とよぶ。
先生と助手の須藤(すどう)さんと私、毎日この3人で講義と実験を続けている。
講義はおもに人体についてだ。
人の体の仕組み、人体と化学物質の反応の仕組み、そんなことを延々と覚えさせられる。
先生の研究室は、大学の構内にある森の隅にひっそりとたっている。
研究室にはいろいろな設備がある。
講義以外の時間は研究室の設備を使って実験をしている。
私はあんまり実験が好きじゃない。
でもお父さんが卒業するためには必要なことだというので仕方がない。
実験には主に2種類ある。
一つは私が何かをする場合。
例えば献体(けんたい)の解剖。
献体とは医学の進歩のために自分の体をささげる契約をした人の遺体のことだ。
先生と須藤さんの指示で、私は献体にメスを入れていく。
最初は吐き気がしたけど、もう今は慣れてしまった。
先生はいわく私はとても優秀らしく、今までのどの生徒よりも早く的確にメスを入れることができるらしい。
もう一つは私が何かをされる。
例えばマスクをつけて薄い酸素を吸いながら何時間も走らされる。
でも外を走るわけではなく、ベルトコンベアみたいなのの上を走っているだけだ。
頭にヘッドセットをつけて、脳波を測定しながらそのままずっと走っている。
先生は私をすばらしいというが、私には何がすばらしいのか分からない。
ただ大学を卒業することがお父さんとの約束だから、それまでは我慢しないといけない。
第五話:キヨノの秘密
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私の名前は森本紀代乃(もりもときよの)。
慶明大に通う3年生ということらしい・・。
私は受験というものを経験せずに慶明大に入学した。
でも入学式にも出ていないし、普通の授業にも出ていない。
ただ1年生のときに紹介された島本教授のところへ毎日通っている。
私は島本教授のことを先生とよぶ。
先生と助手の須藤(すどう)さんと私、毎日この3人で講義と実験を続けている。
講義はおもに人体についてだ。
人の体の仕組み、人体と化学物質の反応の仕組み、そんなことを延々と覚えさせられる。
先生の研究室は、大学の構内にある森の隅にひっそりとたっている。
研究室にはいろいろな設備がある。
講義以外の時間は研究室の設備を使って実験をしている。
私はあんまり実験が好きじゃない。
でもお父さんが卒業するためには必要なことだというので仕方がない。
実験には主に2種類ある。
一つは私が何かをする場合。
例えば献体(けんたい)の解剖。
献体とは医学の進歩のために自分の体をささげる契約をした人の遺体のことだ。
先生と須藤さんの指示で、私は献体にメスを入れていく。
最初は吐き気がしたけど、もう今は慣れてしまった。
先生はいわく私はとても優秀らしく、今までのどの生徒よりも早く的確にメスを入れることができるらしい。
もう一つは私が何かをされる。
例えばマスクをつけて薄い酸素を吸いながら何時間も走らされる。
でも外を走るわけではなく、ベルトコンベアみたいなのの上を走っているだけだ。
頭にヘッドセットをつけて、脳波を測定しながらそのままずっと走っている。
先生は私をすばらしいというが、私には何がすばらしいのか分からない。
ただ大学を卒業することがお父さんとの約束だから、それまでは我慢しないといけない。