僕は暗い気持ちになりながら鍵をを開けて部屋に入った。

部屋の電気をつけると、夏も冬も出しっぱなしのコタツが見えた。

でもそこはいつもの部屋とは違っていた。

押入れやタンスの中身がひっくり返されていた。

まるで嵐のあとのような有様だった。

「なっ・・」

僕は、すぐにじゅうたんの下に隠してある貯金通帳を確認した。

それはじゅうたんの下からは消えていた。

ドロボウ?

でもコタツの上を見ると、そこに通帳が置いてあった。

ドロボウじゃない?

通帳の横には高校の卒業アルバムが置かれていた。

卒業アルバムは、押入れの奥のミカン箱の中にあるはずだった。

アルバムは3年4組のページを開いた状態で置かれていた。

3年4組は僕がいたクラスだ。

でも僕の姿はそこには無かった。

僕が写っていたあたり一面が真っ赤に塗りつぶされているのだ。

それはまだ乾ききってなくて、どろっとしていた。

あの日かいだのと同じ匂いが鼻をついた。

血・・。


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第五話へ続く
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