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第四話:仙崎梨花
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あれ以来、平日は毎日キヨノさんを家まで送り届けている。

バイト先のコンビニでは僕とキヨノさんのことがちょっとした話題になってるらしい。

いつもシフトに一緒に入ってる仙崎梨花(せんざきりか)からも聞かれた。

「なんか坂本、最近仲のいい女の人がいるらしいじゃん」

呼び捨てするなよなぁ。

仙崎は近くの女子大に通っていて一つ年下なのだが、なぜかいつも呼び捨ての上タメ口だった。

「えっなんで仙崎が知ってるの? バイトいつも10時であがりでしょ」

「なんかえらいきれいな人だって噂だよ。付き合ってんのかよ? 」

仙崎はいつもこの調子で男みたいな口のきき方をする。

この時もちょっと攻撃的な感じで聞いてきた。

「いや付き合ってるわけじゃないよ。ちょっと色々あって家まで送ってあげてるんだ」

「ふーん、やっぱな。そんなわけないと思ったよ」

仙崎はにやにやしながらそう言った。

「大体さあ、坂本みたいなオタにそんなきれいな彼女できるわけないって」

なんだよそりゃ。

余計なお世話だよ。

「まあクリスマスまでに彼女できなきゃ、アタシが飯ぐらい付き合ってやるよ」

仙崎はいつもこんな感じで絡んでくる。

いい奴っぽいのだが、いつも話しが突然だ。

「いやマジ意味わからないし」

僕は答える。



11時すぎに携帯が鳴った。

メールだ。

確認するとキヨノさんからだった。

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今日は実験が遅くなりそうなので先生のところに泊まります。

なので大丈夫ですから、まっすぐ帰ってくださいね。

連絡遅くなってすみません。

紀代乃
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えっ、先生って何だよ?

男?

僕はキヨノさんがいったい、どこの誰のところに泊まるのか気になった。

別に付き合っているわけじゃないし、どうこういう資格もないか・・。