柳田が机に身を乗り出し続けてくる。

「我々も少々困っていてね。だから君に協力してもらえないかなと思っているんだよ」

柳田が言いたいことは分かった。

キヨノさんに対するスパイをしろってことだ。

「いやです」

僕はきっぱりと言った。

「なにぃ」

高瀬が僕につかみかかりそうになる。

「まあまぁ、高瀬。坂本君も今日は任意同行なんだ。あまり無茶するな」



家に帰るとキヨノさんからメールが届いていた。

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なんか坂本さんのご好意に甘えるみたいで申し訳ないですが、やっぱり怖いので明日からよろしくお願いします。

明日は12時過ぎにコンビニに行きます。

それにしても早く犯人つかまるといいですね。

紀代乃
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もしキヨノさんが犯人だとしたら、これも全部芝居なのかな?

さすがにキヨノさんのことはブログには書けないなあ。

でも誰かに相談したいという気持ちは強く、拓にメッセージを送ってみた。

ピロリンッ

拓は暇なのか、いつもすぐにメッセージが返ってくる。

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なんか、すげぇことになってんじゃん。

彼女のことお前だけでも信じてあげたほうがいいんじゃね?

やっぱ好きな女を信じるってのは恋愛の王道ってやつでしょ。

前はああ書いたけど、俺は彼女が犯人じゃないと思うな。
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拓からのメッセージは僕が一番聞きたい言葉だった。