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第三話:黄泉狐
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僕を連れてきた刑事の名前は高瀬守(たかせまもる)というらしい。
高瀬は立ったまますわっている僕のほうを見ている。
僕の前の席にすわって、笑顔を作っている小太りのおっさんは柳田だ。
「坂本君、なんで森本紀代乃のことを黙っていたんだい? 」
柳田が聞いてくる。
どうやら僕は警察にマークされていたらしい。
さっきの喫茶店でのキヨノさんとの会話も高瀬に聞かれていた。
「キヨノさんが犯人と疑われたら嫌だったんで・・」
僕はそれだけ答える。
「でも君と森本紀代乃は友達でも何でもなかったよね」
「はい・・」
今の僕はそう答えるしかなかった。
「恋ってやつなのかな? 」
柳田が下品な笑顔を浮かべながら言った。
何だこいつ、うざいなぁ。
「お前は知ってるのか? 森本紀代乃がどんな人間か」
高瀬が感情の無い声で聞いてくる。
「えっ? 」
こいつらキヨノさんのことを知ってる?
「森本紀代乃22歳。慶明大学医学部3年生。高校生1年の時、親友を果物ナイフで刺し殺すものの精神疾患で不起訴。1年間更生施設で過ごした後に社会復帰。当時の記録では友達を殺したという記憶そのものが無いそうだ」
キヨノさんが殺人者?
そんなバカな。
こいつらデタラメ言ってるに違いない。
「お前そんなやつを、かばってどうすんだ? えっ? 」
どんっ
高瀬がそう言って机をたたく。
「まあまぁ高瀬、そうかっかするな」
柳田が高瀬をなだめる。
「ところで坂本君は世間で首狩り事件って言われている連続殺人事件は知っているかな? 」
「はい、一応」
僕は答える。
「その4人の被害者が殺された場所だがね・・。すべて森本紀代乃の家から半径2Kmの円の中で殺されているんだよ」
僕はびっくりした。
「もちろん今のところ目撃者もいないし、何の証拠も無い。何しろ争った形跡もなく、どれも先のとがったスティックのようなもので頚動脈を一突きだ。もちろん凶器も見つかっていないし、何を使ったのか特定もできていない」
第三話:黄泉狐
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僕を連れてきた刑事の名前は高瀬守(たかせまもる)というらしい。
高瀬は立ったまますわっている僕のほうを見ている。
僕の前の席にすわって、笑顔を作っている小太りのおっさんは柳田だ。
「坂本君、なんで森本紀代乃のことを黙っていたんだい? 」
柳田が聞いてくる。
どうやら僕は警察にマークされていたらしい。
さっきの喫茶店でのキヨノさんとの会話も高瀬に聞かれていた。
「キヨノさんが犯人と疑われたら嫌だったんで・・」
僕はそれだけ答える。
「でも君と森本紀代乃は友達でも何でもなかったよね」
「はい・・」
今の僕はそう答えるしかなかった。
「恋ってやつなのかな? 」
柳田が下品な笑顔を浮かべながら言った。
何だこいつ、うざいなぁ。
「お前は知ってるのか? 森本紀代乃がどんな人間か」
高瀬が感情の無い声で聞いてくる。
「えっ? 」
こいつらキヨノさんのことを知ってる?
「森本紀代乃22歳。慶明大学医学部3年生。高校生1年の時、親友を果物ナイフで刺し殺すものの精神疾患で不起訴。1年間更生施設で過ごした後に社会復帰。当時の記録では友達を殺したという記憶そのものが無いそうだ」
キヨノさんが殺人者?
そんなバカな。
こいつらデタラメ言ってるに違いない。
「お前そんなやつを、かばってどうすんだ? えっ? 」
どんっ
高瀬がそう言って机をたたく。
「まあまぁ高瀬、そうかっかするな」
柳田が高瀬をなだめる。
「ところで坂本君は世間で首狩り事件って言われている連続殺人事件は知っているかな? 」
「はい、一応」
僕は答える。
「その4人の被害者が殺された場所だがね・・。すべて森本紀代乃の家から半径2Kmの円の中で殺されているんだよ」
僕はびっくりした。
「もちろん今のところ目撃者もいないし、何の証拠も無い。何しろ争った形跡もなく、どれも先のとがったスティックのようなもので頚動脈を一突きだ。もちろん凶器も見つかっていないし、何を使ったのか特定もできていない」