あまり変わっていない彼の部屋。


だけど私のものはない。


代わりにあるのは、私じゃない女の私物。



「早く持ってけよ」


「うん。ちょっと待ってね」



ニッコリと笑顔を浮かべながら、心の中はどす黒いもので溢れていく。


あぁ、汚い。醜い。目障り。


彼の部屋に女のものが。


私にしか許されていないと思っていたのに。


私だけが許されていると思っていたのに。


そこは私の居場所だったのに。



あぁ……邪魔で邪魔で仕方ない。