私の名前は、
吉野 侑夏 (よしの ゆか)。

美容専門学校の2年生。

毎日、なんとなくすごしてなんとか過ぎていった。


そんなある日、いつもと違う日常がやってきた。

今日は朝から近所の人や親戚が集まっている。

みんな黒い服を着ていた。


美容学校だったため金髪だった私は、
黒い服だらけの中ですごく目立っていた。


お坊さんがきてお経を唱え、
一人ずつ線香をあげていった。


おじいちゃんは黒い車に乗せられ
大きなクラクションが鳴らされた。


少しだけ曇った朝だった。





父「今日から忙しくなりそうだな」

喪主だった父はぼそって言った。

侑「仕方ないよ。突然の事だったし」

父「今日から1週間休みをもらったよ。忙しくなるからな、侑夏も手伝えよ」

侑「うん。」






他愛もない会話をしているうちに火葬場についた。

なんとなくだけど、ここだけ冷たく感じる。


(火葬場ってこんなもんなんだな。)


その部屋は何もない。
ベージュの壁に包まれた静かな部屋だった。


おじいちゃんは大きな鉄の中にいれられた。

火葬場の職員「それでは喪主の方はこちらのボタンを押してください。」


父「はい…」


父はボタンを押した。


享年82歳。
みんなに愛され、みんなに尊敬され、
そんな立派な人だった。


祖母「あっという間だね」

どこか元気がないおばあちゃん

侑「そうだね。なんかあっという間だったね…こんな親戚が集まったのは久しぶりだね!」


なんだかやりきれなくて話を反らす。

祖母「そうだねぇ。侑夏が小さい頃しか会ったことがない人もいるし、わからない人がたくさんかもしれないね」


少しだけ微笑むおばあちゃん。

それをみて少しだけほっとする。


(おばあちゃんが一番辛いはず、私がそばにいなきゃ)