緑が溢れ、小鳥が鳴き、小さな木漏れ日が雲間から差す。
僕は自然が好きではない。
むしろ、虫が苦手な方であまり緑の多い場所には近づきたくない。というのが本音だ。
ただ何故か日が暮れて空が赤く染まる頃、
ふと沈んでいく赤いものに近づきたくなる。
理由はわからない。

家を飛び出して、いつもの自転車に身体を預けて
ペダルを全力で回して太陽に一番近い場所まで走る。
その場所へ向かってる最中も止まらずに赤色は沈んでいく。
僕がそこにたどり着く頃にはもう赤色はその色を保ってはいなかった。
ただ残されたわずかな時間、空が黒く染まるまでの時間の中で沈んでいく赤色をただ眺めていた。


そして赤色が消え去って、空が漆黒に染まってから
帰路に着いた。



なぜ僕は赤色が好きなのだろうか?
その疑問は永遠に解けないだろう。