高1、2のときはどうしても親と仲良くできなかった。
だから精神的に不安定だった。
いつの間にか自然とうまく立ち回れるようになっていたけれど。
ーー違うか。キキと別れる少し前くらいからだ。
「ウミ、今日の予定は?」
休日モードの父親はわりとご機嫌で、溜まった新聞を読んでいる。
「友だちに会いに行こうかな。京大行くんだって」
「それはすごいな。話を聞いてきなさい」
チンッと軽快な音がして、食卓にやってきた母親は、何も言わずにトーストを置いた。
半分にちぎると、砂糖がほろほろと崩れていく。
友だち、という言葉の重さをかみしめた。
キキに会うのは最後になるだろう、となんとなく思った。