「だから、わたしはここを離れない。キキが何をしようが、多分ずっと」
キキは静かにわたしの顔を見つめた。
その目の奥で驚きが波打っているのが分かった。
しばらくどちらも話さなかった。
紫と水色の貨物列車が線路を走る間が、永遠のように思えた。
わたしがいて、キキがいる。
それは付き合っているときから変わらない。
けれど今はもう、わたしたちの世界にあるのは、春一番のようなものだけだった。
恋愛感情でも友情でもなく、互いを互いに押し出そうとする突風だけ。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…