モーニングコールは元カレからだった。 「もしもし」 急に聞こえたその声が、あまりに変わっていなくて、一瞬で目が覚めた。 「おはよう。元気ですか」 キキは「元気だよ」と言いながら、わたしの間抜けな挨拶に笑ったようだった。 わたしは、キキの大人びた声が好きだった。 「どうしたの?急に」 返事を待ちながら、寝巻きパーカのポケットに手を突っ込んだ。 キキがわたしに電話をかけてくるような用は思いつかなかった。