お母さんがマヨネーズと七味を混ぜたものをお父さんの前に置いた。
まて、違うだろ。そっちじゃないだろお母さん。あたりめを食べてるのは私だぞ。
お母さんは気付く事なく台所へ戻っていった。お父さんはというと、ポテチとマヨネーズが入ったお皿を交互に見つめるとポテチをマヨネーズにつけて食べ出した。
…美味いのかそれ。みかねた兄が爆笑。
マヨネーズが入ったお皿を持つと兄が私のほうに来た。
「ほれ、」
兄が私の前にマヨネーズを置いた。私は無言でマヨネーズをあたりめにつけてかじる。
「彼氏に浮気でもされたか?」
兄が声のトーンを落として言った。
「んなバカな。」
なわけなかろう。でも、まあ昨日の私とさっきの質問の意味を考えるとそう思われても仕方ないか。
雰囲気を変えた私に兄の遊び癖を気にする私…。
「彼女には誠意を持って接している、何が何でもあいつが一番だ。」
…あっそ。私はのろけを聞きたいわけじゃないんだが。何、君は語り出してんだ。
「クラブには行くし、朝まで女とも過ごしたりする。それが楽しいからね〜」
おい。いま、最低な事言ったぞ。泣くぞ、彼氏が浮気をしている世の中の女性が聞いたら泣くぞ。
「彼女と籍を入れているわけじゃない、法に触れる事はしていないし、遊ぶ女は選んでるよ」
「旦那持ちだと面倒くさいもんな。」
「違う」
は?私が言った言葉に兄は否定する。
兄の横顔見ると、瞳は真っ直ぐと力強く何かを見ていた。
なんだ…?
「本気になる奴は誰もいない、遊びに本気だけどそれ以上でも以下でもないよ」
…意味がわからんのだが。兄は何を言っているんだ。
「その時に楽しさを求める奴としか遊ばない。天秤にかけた気持ちが傾くような女は相手にしないさ」
「……はぁ??」
なぁ、兄が言っている事が理解できないのは私だけじゃないよな。
「いの、遊ぶ男は最低か?」
「最低だろ」
即答だ。ちなみに君の事だからな。
兄に意味わからんこと聞かされたわ、せっかくの日曜日が…はぁ。
「DVDセットしてきて」
私はDVDデッキのある方を足で指して兄に言った。