「2学期に入ると、あたしと木村くんは全く話さなくなった。服装点検の再検査のお知らせは言い続けたけどね、毎日追っかけたりは全然しなかった。」
うん、それが正解だと思うぞ。アレに時間を使ってたら時間の無駄だ。
「それでどうしたんだ?」
「それで…クラスの男子の一部が夫婦喧嘩だとか何かあたしたちをからかいはじめてね、まあ夏休み終わってからだったから夏休みになんかあったんじゃないかーって…あたしは苦笑いだったよ。」
…あちゃー。あちゃー展開第二弾だ、こりゃ。男子ってどこか小学生よりガキな部分あるもんな。
「男子は別に良かったんだけどね、次に先生までも言い出したの。木村くんの事嫌いだったし、さすがにあたし怒っちゃったよね、でも先生だし笑うしかなかった。」
おい、先生。なに結希を怒らせちゃってんだ。私もぷんぷんぷーんだぞ。……はい、すいまん。でも、先生まで言い出すなんて嫌だよな。
「あたしこんな事はじめてだったからさ、ちょっとクラスに居づらくなってきて…あとその頃、学校祭の時期で毎日みんなで居残りで学祭の準備するんだけどあたし学祭の実行委員でみんなをまとめなきゃいけないんだけど…」
結希がたれた髪を耳にかける。
私の学校は体育祭と文化祭を9月に3日間かけて行なう。とてつもなく大変だが、学校祭と言ってこの学校の一大イベントだ。それの実行委員って…結希さんすごいわ。
「上手く指示が回らないクラスに木村くんが…言ったんだよね、笑いながらだけど。おれらの気持ちを考えて発言しろよって、結希ちゃんが居心地悪く感じてんの気づかないのかって…あたしどうしたら良いか分かんなくて…」
結希は困ったように眉を下げはにかみ笑いをする。その時の結希の心情が何となくわかる。
「その時、木村くんを好きな子は木村くんと仲良くなってていつも木村くんの側にいるからあたしは木村くんと話すことはできなかった。」
おお。その子、妖怪スピーカーを攻略したのか。恐るべしだぜ。