私と結希の間にはいくつ触れてない話題があるのだろうか。
直球に浮気してるのかと結希に聞くなんて私には出来ないし、それとなく聞き出す術は私には無い。
まぁ、妖怪スピーカーと結希の事から聞こう。
「結希の彼氏って、よぅ…木村だよな。」
あぶない。彼女に妖怪スピーカーと言ってしまうところだったぜ。さすがにまずい。
「うん、そうだよ。いのちゃんも彼氏いるよね、どう?」
ニコニコと、穏やかに言う。その口調は妖怪スピーカーを裏切っているとは思えない。やっぱ、君愛されてるよ。うん、妖怪スピーカー羨ましいぜ。
「昨日、一緒帰った。結希って毎日彼氏と何かしら会ってるよな」
そこに私が遭遇した事は無いけど。私は2人を単体でしか知らない。
「うん、そうだね。でないと、木村くんフラフラとどっか行っちゃうもん。」
うん、まあ。アレはイケメンだもんな。妖怪スピーカーだけど。騒音総攻撃だけど。女が放っておくはずないか。
「毎日、電話もするし。木村くんすごいんだよ?8時には寝ちゃうの。最初はびっくりしたなぁ」
そう言う結希の表情は緩みに緩みまくっている。ほっぺ落ちないか、大丈夫か。
てか、毎日電話するのか。アレと。
アレと、毎日通信機器で音声を交わすのか。結希の鼓膜が心配だ。私は今日帰ったらすぐに良い耳鼻科を探すことにするよ。うん。
「結希たちは付き合ってどれくらいなんだ?」
「えっと、9ヶ月くらいかな」
そうなんだ。長いな。さすが結希だ。