教室の見回りに来たであろう先生に仕上げたレポートを渡して時間を確認する。
外は濃いオレンジ色になっている。帰るか。
結希は彼氏と一緒に帰れないとか言っていたけど、帰れてるからな。妖怪スピーカーはバッチし結希を尾行しているからな。うん。
今さらだけど尾行って何か怖いよな、ストーカーみたいで。
……自分で思いながら本当、怖いわ。尾行されている結希の気持ちを考えると、うん…少し同情してしまう。
「…っ、あれ?いた」
「ん?」
椎名だ。教室の入り口のほうを見ると椎名がいた。
「帰る?」
帰るけども…。うん。
椎名の問いに私は頷く。
「行こう、」
椎名はそう言うと教室に入って来て、私のスクールバッグを持つと歩き出した。
椎名の髪が夕日に照らされてキラキラしている。
椎名の後ろ姿を眺めながら私も歩き出した。