「怖くない?」


「ケケケッ!怖いもの知らずのおれだよぉ〜??尾行がバレて結希ちゃんに怒られるくらいなんて事無いさぁ〜!アハハハッ!!」


……。


バカめ。そう言う事じゃねぇよ、少なくとも君の尾行が結希にバレるなんて想定済みだわ。

どうやったらこんなバカになるんだ。


結希よ、妖怪スピーカーの教育頑張ってくれ。


「おれが怖いのはぁ〜結希ちゃんが怒ることよりぃ結希ちゃんが泣いちゃう事の方が怖いしぃ〜ギャハハ!」

「そうじゃなくて」


君が本当に結希想いなのは十分伝わったから。


「結希が浮気してるかもしれない事に対して怖く無い?」


自分も相手も好きで自分のことが好きだと思っていた人に裏切られるかもしれないんだぞ。

相手が自分を捨てるかも知れないんだぞ。

今までの仲が壊れるかも知れないんだぞ?


「怖くないのか?」



「ん〜。ギャハハッ!!!!そりゃあ〜怖いもの知らずのおれだしぃ〜?」


そうだろうな。君は怖いもの知らずだろうな。中学の頃、生徒指導の体育教師を指差して「ちょび髭でハゲてやんの〜!ギャハハ!!」と隣で叫ばれた時は心臓が止まるかと思ったよ。おかげで私も巻き込まれて体育評価最悪だったわ。


「でも、結希ちゃんは別!!」


え?


「うん!怖いよ!!アハハハッ!!知りたくもな〜いし、不安だしぃ〜、疑ってしまうおれがいるのが怖いよぉ〜?ケケケッ!」


ゲラゲラと、妖怪スピーカーは言う。

笑いながら言うトーンの内容じゃねぇだろ。大阪のおばちゃんもびっくりのトークだわ。


でも、妖怪スピーカーも人間で良かった。


恋愛になると、誰でも怖いものは怖いのだ。


「そっか、じゃ私は帰る」

「はぁ〜いよっ!まぁ〜たねぇ〜!!ガハハッ!」


君とのまたねが一番恐ろしいわ。

妖怪スピーカーを後にして私は学校を出た。