椎名が口を開く。
「俺が、俺を心配する結希ちゃんに甘えたんだ。」
「……」
「っ、椎名くんは悪くない!!教室にはあたし、と椎名くんしか残っ、てなく…て、そしたらあたし…いのちゃんのことを真っ直ぐに想う椎名くん、が…その、っ…」
なぁ、この修羅場。私はどうしたらいいのだ。
「椎名くんは真っ直ぐで本当に素敵な人だよ!!だから、いのちゃん!椎名くんをせめないで!!怒らないで!!!椎名くんはいのちゃんが好きなだけだから!!!」
次から次へと溢れ出す涙を両手で拭いながら結希は眼を赤くさせて私に伝えた。
「俺と結希ちゃん、その時に一度だけ…」
あーもう。生々しい。
結希は唇をしめて、
涙を堪えようとしているけど涙が止まる事はない。
「してしまった過ちにすぐに後悔したよ、結希ちゃんは悪くない。俺が手出した。結希ちゃんに木村くんがいる事を知っていたのにだ。後日、話し合ってお互いのためにもう会わないようにしようと決めた。あの日の事は無かったことにしようって…」
…すごく、何だか気分が悪い。
「だけど、結希ちゃんが最近木村くんが一緒に帰らなくて不安だって言うから…あんなことがあった手間、ダメだと分かっていたけど、学校を別々に出て一緒に帰ったのは一昨日のことだ。」
「…そっか」
椎名が言った事に私はそう返事した。
「…本当に、ごめんなさい…。ごめん、なさ…いっ」
結希は何度も私を見て謝る。
謝らないで欲しい。
私は結希が好きだ。
嫌いになんてなれない。