私は結希の泣く姿なんて見たくない。
それだけだ。
「…ほんっと、ごめ…なさい」
…謝るな、お願いだから。
ハンカチを握る結希の手は力強く拳をつくっている。
…どうしてこんなにも、
見てる私にまで痛いのが伝わってくる。
「あた、し…が木村くんに対しておかしかったのは多分…うしろめたかったから。こんなあたしが平気で木村くんの隣にいて良いのか…わからなくなってたから」
結希の視線は下を向いている。
多分、どんな言葉を使ったら良いのか
考えてるんだ。
「…結希ちゃん、」
心配する椎名の声が響く。
「いいの。もう隠せないよ。
いのちゃん、あたしが全部悪いの。
全部ちゃんと話すって言ったし、話すね?」
そう言う結希の声は芯が通っていた。
「ありがと」
話してくれるらしい結希に私はお礼の言葉をかけるしかなかった。
辛いのに話そうとしてくれてありがとう。
結希は良い子だ。