ガタン、と何度もわざと音を鳴らし、半ばゴミ箱を引きずりながら私はまだぼーっとしていた。
考える事は当たり前にさっきの蜜乃の事。

蜜乃がお弁当箱を片付けに教室に来る前になんとなく掃除場に行ってしまい、(なんとなく、会いたくない、というのがあったのかもしれない)掃除場が違う蜜乃とはまだ一回も会っていない。……ほんの数十分ぐらいしか離れていないのになんなんだ、この長年会っていないというような気分は。

もやもやもやもや。

そーいや、蜜乃何時の間に彼氏出来てたんだ?私今までそういう好きな人とかの話一言も聞いていなかったぞ。
……なんか今深く考えてみたら凄ぇ淋しくなってきたんですけど!!

もやもやもやもやもやもや。

「蜜乃ぉ……ってあだっ!」

ぼーっと考え事をしていたら私はごみ箱に躓いて頭から廊下に突っ込んだ。
よかったぁ…ゴミ捨てに行った後で。ってそこは問題じゃなくて。

「あ゙ーっ!膝擦り剥いてる……」

どうやら私の右の膝小僧は渡り廊下のちょっとペンキが剥げてるコンクリートに絶えられなかったようです。あー、痛い。地味に痛いよ。コレ。

「もう……いやだぁー、なんなんだよ。私が何したって言うんだよー」

いつの間にか私は足を折り曲げて体育座りになって廊下の中心で訳も分からず泣いていた。私のほかに歩いている人が居たらきっといい見世物だろう。幸い、考え事をしていたせいか、掃除中は誰も使わないこの渡り廊下を無意識に私は歩いていたので、今は誰も居ない。
泣いてる癖に頭の中でこんなこと考えている自分がなんだか変に思えた。