「……五月ちゃん」

「へ、あ、な、なに!」

(しまった)

思いっきり語尾がひっくりかえってしまった返事を出してしまうと、蜜乃は飽きれたような苦笑しているような顔をして「そんなに緊張しなくても……」と私に言った。ウェイトレスさんやお客さんの視線を少し感じて気恥ずかしかった。

いや、だって、これは緊張しない方がおかしいよ。だってだって、親友の彼氏、だよ?蜜乃に限ってはないだろうけど、私は頭の中で彼氏が不良だった時の対処法をずっと頭の中で考えていた。どうする?蹴る?いや、仲間を呼ばれたらたまったもんじゃない。え、じゃあ……どうするんだ。どうしよう!私!!などと考えていて、今思うと本当アホらしいと思う。

そんな私のアホな頭の中を蜜乃が知る由もなく、自分の携帯で時間を見て「んー、もう少しで来るはずなんだけどなぁ」と呟き、利き手の方でカフェオレの入ったコップを掴み、ストローで口に入れた。

今私達がいるのは俗に言う、「駅前近くのカフェ」で、(ちなみに名前は「アンジェ」と言う)蜜乃の彼氏を見つけやすいように私達は外側の席に座っていた。