青い空の下、のどかな草原がどこまでも広がっている。
今歩いているこの道の先には、何が待っているのだろう――と、
私は、少しの不安と大きな期待を胸に歩き出した。
大丈夫。私の傍には、ルカがいる。
『私、まだ旅を続けたい』
そう答えた私に、ルカは、一言も反対しなかった。
むしろ、私の答えが初めからわかっていたかのように、
諦めに似た笑みを浮かべながら溜め息を吐いた。
『アリスがそう望むなら……』
そう言って、ルカは私に向かって手を差し伸べた。
反対されるかもしれない、と思っていた私は、逆に拍子抜けして、きっと変な顔をしていたのだと思う。
ルカが息を漏らすように笑った。
結局ルカは、何だかんだ言っても、きっと最後には私の気持ちを尊重してくれるのだ。
私は、手を繋いで隣を歩くルカを見た。
私の視線に気付いて見返してくる焦げ茶色の目が、何となく、いつもよりも優しい気がした。
ルカは、歩き慣れない私のことを気遣ってくれて、
ちょくちょく疲れていないか、休憩をしようか、と声を掛けてくれる。
そのルカの気持ちは嬉しいのだが、
いつまた白い男に襲われるかと考えると、
私は、一刻も早く安全な港町に着きたい気持ちでいっぱいだった。
「だいぶ進んだな。もう昼になる。ここらで少し休憩を取ろう」
さすがに歩き疲れた様子の私を見兼ねて、ルカがタイミング良く声を掛けてくれた。
そこには、休むのにちょうどよい木陰と、傍に喉を潤すことのできる小川が流れていた。
私たちは、携帯食を分けて食べると、木陰に寄りかかって少しだけ休んでいくことにした。
慣れない歩き旅に足がじんじんと痛んだが、こんな風にゆっくりと外を歩くことなんて生まれて初めてだったから、私は、見るもの全てが新鮮で楽しかった。
外の風がこんなに気持ちいいことも、草の香りがどんな高級な香水よりも良い香りであることも、陽の下にずっといると段々肌が痛くなってくることも、城の中に居ただけでは一生知ることはなかっただろう。
私は、いつも城の中から外を見ては、一度でいいから自由気ままな旅をしてみたい、と夢見ていた。
その夢が叶って、私は、こんなに幸せで良いのだろうか、と少しだけ罪悪感を抱いた。
ふと、ルカの夢は何なのだろうか、と気になった。
ルカは、こうして私の我が儘に付き合ってくれてはいるが、一度だって自分の願いを口にしたことはない。
長い間一緒にいるのに、私も敢えてそれを聞こうとはしなかったことに今更ながらに驚いた。
「ねぇ、ルカの夢って何?」
「夢? あまりそうゆうのは考えた事がないな……」
ルカは、絶えず辺りに警戒の目をやりながら、心半ばで答えた。
こんなに明るくて見通しのいい場所で、まさか襲われることはないと思うのだが……本当に難儀な性格だ。
「本当に? 少しくらいなら、憧れたりする事ってあるでしょう?
例えば、世界一周旅行とか、魔法を使ってみたい~とか……」
私なら、たくさんやりたいことや、叶えたい夢があるんだけどなぁ、と思いを馳せながらルカの顔を見る。
ルカは、眉間に皺を寄せて、しばらく考え込んでいた。
(そんなに難しい質問したかしら、私……)
今歩いているこの道の先には、何が待っているのだろう――と、
私は、少しの不安と大きな期待を胸に歩き出した。
大丈夫。私の傍には、ルカがいる。
『私、まだ旅を続けたい』
そう答えた私に、ルカは、一言も反対しなかった。
むしろ、私の答えが初めからわかっていたかのように、
諦めに似た笑みを浮かべながら溜め息を吐いた。
『アリスがそう望むなら……』
そう言って、ルカは私に向かって手を差し伸べた。
反対されるかもしれない、と思っていた私は、逆に拍子抜けして、きっと変な顔をしていたのだと思う。
ルカが息を漏らすように笑った。
結局ルカは、何だかんだ言っても、きっと最後には私の気持ちを尊重してくれるのだ。
私は、手を繋いで隣を歩くルカを見た。
私の視線に気付いて見返してくる焦げ茶色の目が、何となく、いつもよりも優しい気がした。
ルカは、歩き慣れない私のことを気遣ってくれて、
ちょくちょく疲れていないか、休憩をしようか、と声を掛けてくれる。
そのルカの気持ちは嬉しいのだが、
いつまた白い男に襲われるかと考えると、
私は、一刻も早く安全な港町に着きたい気持ちでいっぱいだった。
「だいぶ進んだな。もう昼になる。ここらで少し休憩を取ろう」
さすがに歩き疲れた様子の私を見兼ねて、ルカがタイミング良く声を掛けてくれた。
そこには、休むのにちょうどよい木陰と、傍に喉を潤すことのできる小川が流れていた。
私たちは、携帯食を分けて食べると、木陰に寄りかかって少しだけ休んでいくことにした。
慣れない歩き旅に足がじんじんと痛んだが、こんな風にゆっくりと外を歩くことなんて生まれて初めてだったから、私は、見るもの全てが新鮮で楽しかった。
外の風がこんなに気持ちいいことも、草の香りがどんな高級な香水よりも良い香りであることも、陽の下にずっといると段々肌が痛くなってくることも、城の中に居ただけでは一生知ることはなかっただろう。
私は、いつも城の中から外を見ては、一度でいいから自由気ままな旅をしてみたい、と夢見ていた。
その夢が叶って、私は、こんなに幸せで良いのだろうか、と少しだけ罪悪感を抱いた。
ふと、ルカの夢は何なのだろうか、と気になった。
ルカは、こうして私の我が儘に付き合ってくれてはいるが、一度だって自分の願いを口にしたことはない。
長い間一緒にいるのに、私も敢えてそれを聞こうとはしなかったことに今更ながらに驚いた。
「ねぇ、ルカの夢って何?」
「夢? あまりそうゆうのは考えた事がないな……」
ルカは、絶えず辺りに警戒の目をやりながら、心半ばで答えた。
こんなに明るくて見通しのいい場所で、まさか襲われることはないと思うのだが……本当に難儀な性格だ。
「本当に? 少しくらいなら、憧れたりする事ってあるでしょう?
例えば、世界一周旅行とか、魔法を使ってみたい~とか……」
私なら、たくさんやりたいことや、叶えたい夢があるんだけどなぁ、と思いを馳せながらルカの顔を見る。
ルカは、眉間に皺を寄せて、しばらく考え込んでいた。
(そんなに難しい質問したかしら、私……)