小山田君は少し俯き加減のまま。

「もう…今までの生活には戻れないんだろうな」

小さく呟いた。

…1号を倒されたところで、機関は私達から手を引いたりはしないだろう。

裏切り者は絶対に許さない。

そして今後も、機関はどこかで私や小山田君のような覚醒者を生み出す為の実験を続けていく。

「そんなの…許せないよな」

ギュッと。

小山田君が拳を握り締めた。

…平穏な日常を奪われた者として。

覚醒者に生まれ変わったものとして。

その力をどう使うのかは、彼自身の判断に委ねられている。

ならば。

機関ではなく私と共に歩む事を選んだ小山田君の選択は、もう決まっているのではないだろうか。

「…行こう」









小山田君は私と肩を並べ、深い深い夜の暗闇の中へと歩き始めた。

いつか、朝が来る事を信じて…。