火球はスクラップに直撃し、大きな炎を上げる。

「…小山田哲平…!」

ギロリと。

地面に降り立った1号が俺を睨んだ。

「…随分派手に騒いだ。そろそろ警察もここに来るだろう」

俺は首を軽く回しながら言った。

「ここらで終わりにしよう」

自分でも驚くくらい自信があった。

俺はこの女を…1号を上回っているという自信が。

「……」

無言で揺らめくように向き直る1号。

その背後に、数台の廃車やスクラップが浮遊した。

「現時刻を以って、小山田哲平…覚醒者3号を機関の敵対者と認定…処理する」

彼女は指をパチンと鳴らす。

同時に襲い掛かってくる、凶器と化した鉄屑達!

迷っている暇はない。

飛来する凶器を視界におさめる。

それだけで。

「!!」

廃車が、スクラップが、鉄屑が。

片っ端から炎に包まれ、消し炭となる。

「まだだ」

1号に動揺はない。

焼き尽くされたのなら次だと言わんばかりに、無数のスクラップを念動力で撃ち出してくる。

それは尽きる事のない砲撃だった。