スクラップの上から、1号が俺を見下ろす。

「おめでとう、小山田哲平。今この時から、君はこちら側の世界の住人よ」

先程までの狂気に満ちた笑みは消え、初対面の時と同様の無表情で呟く。

…俺も無表情のまま、1号を見上げた。

「……」

彼女は手を差し伸べる。

「来なさい。機関は君のような強力な覚醒者を歓迎する」

「…小山田君、駄目!行ったら駄目!行けば貴方は必ず『人間』ではいられなくなる!」

黛さんと1号。

まるで天使と悪魔の囁きのように、二人は俺のそばで言う。

俺は。

「!!」

1号に手を伸ばした。

「お…小山田君」

青ざめる黛さん。

「黛さん…とっくの昔に俺は人間じゃなくなってるよ…」

彼女の顔を見る事すらせず、俺は呟く。

「……」

その言葉を聞いて、1号がまた薄く笑う。

そう、俺は人間じゃなくなった。

だから。

「俺をこんなにした連中はぶっ潰してやらなきゃ気がすまない」

伸ばした掌から、火の玉が発生する!

「っ!?」

己に向かって飛来する火球。

1号は咄嗟に立っていたスクラップの上から飛び退いた!