それで。

「これからどうするんだ黛さん…」

俺の問い掛けに黛さんは即答した。

「この街を出ようと思うの。既にこの御影市は機関の息がかかっているから」

「え…」

黛さんの言葉に一瞬躊躇する。

この街を離れるって…友達は?

家族は?

そのまま残して行ったら、家族や友達が機関の奴らに狙われるんじゃないのか?

俺が言うと。

「大丈夫」

黛さんは俺を安心させるように言った。

「機関はその存在を一般人に知られる事を嫌うわ。非合法の組織だからね…必要以上に民間人を巻き込むような真似はしない。私や小山田君も、恐らく失踪扱いで処理される筈よ。機関の手回しでね」

「……」

機関ってのは、そんな裏工作までやってのけるのか…。

俺を狙っている連中の規模の大きさに、少し臆病風に吹かれた。