「公園で見せた…あれも超能力なのかい?」

「ああ…あれね…うん、そうよ」

1号から小山田君を奪い去った時のあの動き。

あれも私の超能力だ。

『テレポート』。

いわゆる瞬間移動だ。

移動距離はほんの数メートル程度。

一度使えばかなり消耗するので、連続使用はできない。

でも障害物を越える事もできるし、接触していれば人間くらいの大きさなら一緒に移動できる。

自分以外の生物と一緒の瞬間移動でも、生命活動に影響を与える事はない。

私が持っている能力の中で、唯一戦闘に使えそうなのがこの瞬間移動だ。

「…すげえな…黛さん」

小山田君の表情に、やっと笑顔が浮かんだ。

「ねぇ、小山田君」

私は俯き加減に言った。

「私は機関に強制されてたとはいえ…貴方への人体実験に協力したのは否定できないわ…今更謝ったって許してもらえないのはわかっている。でも…」

顔を上げ、小山田君の顔を見る。

「せめて…せめて私と同じ目に遭わなくて済むように、私は小山田君が機関の手から逃げ延びる為のサポートをしたいの」

「……」

無言のままの小山田君。

「信じて…くれる…?」