「じゃあさ…」

おずおずと、小山田君が口を開く。

「黛さん…も…超能力持ってるのか…?」

「ええ」

私は頷く。

小山田君が『発症』する事がわかったのも、私の能力のお陰だ。

機関は私の能力を利用して覚醒者を特定しようとしていたらしい。

「私の能力は『プレコグニション』」

「ぷれこぐにしょん?」

小山田君が首を傾げる。

「…予知…そう言った方がわかりやすいわね」

私はクスッと笑った。

…未来に起こる出来事を事前に察知する超能力。

遠見、千里眼とも呼ばれる。

といってもそんなに先が見える訳ではなく、見たい未来を自在に察知できる訳でもない。

私の場合はランダムに、しかも比較的近い未来…数秒先から数日後くらいの未来しか察知できない。

いつ、どのくらい先の未来が見えるかはわからないが、それでも何も知らないよりはずっとマシだ。

私は小山田君に注射して彼の腕にガーゼを当てていた時に、『彼が覚醒者になる』という未来を予知したのだ。

恐らくはそんな遠くない未来。

ただ、小山田君がどんな能力に覚醒するのかまでは見えなかった。

だからせめて逸早く彼を保護すべく、私は行動を開始したのだ。